疾患

甲状腺疾患の診療 — 内分泌代謝の専門経験を活かした血液検査スクリーニングと長期管理

八丁堀3丁目クリニック(宝町駅 A4 出口徒歩 3 分・八丁堀駅 B2 出口徒歩 5 分)では、健診でTSH異常を指摘された方や、だるさ・動悸・体重変化が気になる方の甲状腺診療を行っています。内分泌代謝科専門医を中心とした診療体制で、血液検査によるスクリーニングから長期管理まで対応。エコーや精密検査が必要な場合は専門病院と連携してご紹介します。

監修: 石田 和也(院長)公開日: 最終更新日:

甲状腺疾患とは

甲状腺は、首の前面・のどぼとけのすぐ下にある重さ15〜20gほどの蝶のような形をした臓器で、全身の代謝を調整する「甲状腺ホルモン」を分泌しています。甲状腺ホルモンの分泌量が多すぎたり少なすぎたり、または甲状腺自体に腫瘤(しこり)ができたりすることで、さまざまな症状が現れます。

代表的な甲状腺疾患は次のとおりです。

  • 甲状腺機能亢進症(代表疾患: バセドウ病) — ホルモンが過剰になり代謝が活発になりすぎる
  • 甲状腺機能低下症(代表疾患: 橋本病) — ホルモンが不足して代謝が低下する
  • 甲状腺結節(甲状腺腫瘍) — 甲状腺内にしこりができる。良性が大半だが、まれに悪性
  • 亜急性甲状腺炎・無痛性甲状腺炎 — 一過性の甲状腺ホルモン放出による症状

有病率と当院での診療体制

甲状腺疾患は女性に多く、特に橋本病は成人女性の約10人に1人、バセドウ病は1,000人に2〜3人とされています。症状が「年齢のせい」「疲れているだけ」と捉えられて見過ごされやすいため、まずは血液検査で甲状腺機能を確認することが大切です。エコーや細胞診などの精密検査が必要な場合は、後述する連携医療機関でスムーズに受けていただける体制を整えています。

甲状腺疾患の主な症状

甲状腺ホルモンは全身に作用するため、症状は多岐にわたります。次のような症状が複数当てはまる方は、一度ご相談ください。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)のサイン

  • 動悸・脈が速い・脈が飛ぶ
  • 手の震え(細かい震え)
  • 暑がり・汗をかきやすい
  • 食欲があるのに体重が減る
  • イライラ・落ち着かない
  • 眼球が前に出る(眼球突出 / バセドウ病に特徴的)
  • 首の前が腫れる(甲状腺腫大)

甲状腺機能低下症(橋本病など)のサイン

  • だるい・疲れやすい
  • 寒がり・冷えが強い
  • 体重が増える・むくみ
  • 便秘
  • 皮膚の乾燥・髪が抜けやすい
  • 物覚えが悪い・ぼーっとする
  • 月経異常
  • 首の前が腫れる(甲状腺腫大)

甲状腺結節(しこり)のサイン

「だるい・疲れやすい」「動悸」「体重変化」など、ありふれた症状が組み合わさって出るのが甲状腺疾患の特徴です。健診の血液検査で指摘されて来院されるケースも多くあります。

  • 首の前にしこりを触れる
  • 首が太くなった気がする
  • 健診の触診や頸動脈エコーで指摘された
  • 飲み込みづらさ・違和感

甲状腺疾患の原因・リスク因子

甲状腺疾患の多くは自己免疫の異常が背景にあり、生活習慣だけが原因ではありません。

自己免疫が関わる疾患

  • バセドウ病 — TSH受容体抗体が甲状腺を刺激してホルモン過剰に
  • 橋本病(慢性甲状腺炎) — 抗甲状腺抗体が甲状腺を慢性的に攻撃しホルモン不足に

リスク因子

  • 性別(女性のほうが頻度が高い)
  • 家族歴(甲状腺疾患の家族がいる方はリスクが高い)
  • 出産後(産後甲状腺機能異常)
  • 加齢
  • 強いストレス・喫煙(バセドウ病の発症・悪化に関与)
  • ヨウ素摂取量の偏り(極端な過剰・不足)

一過性の甲状腺機能異常

二次性脂質異常症や月経異常・不妊・産後うつ・うつ症状の背景に甲状腺機能異常が隠れていることもあるため、症状が長引く方は一度の血液検査で確認する価値があります。脂質異常症を指摘された方も、甲状腺機能の評価をお勧めしています。

  • 亜急性甲状腺炎(ウイルス感染後・首の痛みを伴う)
  • 無痛性甲状腺炎(出産後など)
  • 薬剤性(アミオダロン・インターフェロン等)

八丁堀3丁目クリニックでの甲状腺疾患の診断方法

当院の役割: 血液検査による初期スクリーニング

甲状腺疾患の診療では、まず血液検査で甲状腺機能を確認することが出発点です。八丁堀3丁目クリニックでは、初回受診時に必要な項目を採血で評価し、結果をもとに「治療開始」「経過観察」「専門病院での精密検査」を判断します。エコー検査・細胞診など画像検査が必要な場合は、提携先の専門病院と連携してスムーズにご紹介し、診断後の長期管理を当院で継続して行う体制です。

血液検査の項目

甲状腺ホルモンとTSH(甲状腺刺激ホルモン)の測定が診断の中心です。健診結果で「TSHが高い・低い」と指摘された方は、結果をお持ちのうえご来院ください。

  • TSH(甲状腺刺激ホルモン) — 甲状腺機能の最も鋭敏な指標
  • FT4(遊離サイロキシン)
  • FT3(遊離トリヨードサイロニン)
  • 抗TPO抗体・抗サイログロブリン抗体 — 橋本病の補助診断
  • TSH受容体抗体(TRAb) — バセドウ病の補助診断
  • サイログロブリン

エコー検査・精密検査が必要な場合

血液検査の結果、結節(しこり)の評価や甲状腺の構造的異常の確認が必要と判断された場合は、甲状腺専門病院や連携医療機関へご紹介します。当院は都内の甲状腺専門病院や中央区近隣の総合病院と連携体制を整えており、患者さんごとに最適な紹介先をご提案します。紹介先で精密検査と診断を受けていただいたあと、安定した長期管理を当院で継続するという形で、患者さんの通院負担を最小化しながら適切な専門医療につなぐ体制をとっています。

関連症状の評価

甲状腺機能異常はだるさ・疲れやすさや動悸・息切れを引き起こすため、これらの症状で受診された方には甲状腺機能の評価も同時に行うケースがあります。

専門機関との連携が特に重要なケース

次のような場合は早期に専門病院での集中管理をお勧めしています。

  • バセドウ病で重症の眼症状(眼球突出・複視)がある方
  • 悪性が疑われる甲状腺結節がある方
  • 妊娠中・妊娠希望でホルモン値の細かい調整が必要な方
  • 抗甲状腺薬で副作用が出た方

八丁堀3丁目クリニックでの甲状腺疾患の治療方法

治療の基本方針

甲状腺疾患の治療は、ホルモン値を正常域にコントロールしながら、原因疾患に応じて長期的に管理することが基本です。八丁堀3丁目クリニックでは、神野副院長が内分泌代謝科専門医として、石田院長が東京女子医科大学病院 高血圧・内分泌内科での臨床経験を活かして連携し、ガイドラインに準拠した治療と、患者さんのライフステージ(妊娠希望・妊娠中・授乳期・高齢期 等)に合わせた個別化を行います。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の治療

  • 抗甲状腺薬(チアマゾール / プロピルチオウラシル)による薬物療法が第一選択
  • 副作用や薬で寛解しないケースでは、放射性ヨウ素治療(アイソトープ治療)・甲状腺亜全摘出手術を検討(専門病院へ紹介)
  • 治療開始後はホルモン値が安定するまで定期的に血液検査で経過を追います

橋本病・甲状腺機能低下症の治療

  • 甲状腺ホルモン補充療法(レボチロキシン)が標準治療
  • 適切な用量に調整するため、開始から数か月は1〜2か月ごとに採血で確認
  • 安定後は3〜6か月ごとの定期検査で長期管理
  • 妊娠希望・妊娠中の方はTSH目標値が異なるため、産婦人科と連携して管理

甲状腺結節の経過観察

  • 良性が疑われる結節は専門病院でのエコー検査による定期的なサイズ・性状評価をご紹介
  • 悪性が疑われる場合は専門病院での穿刺吸引細胞診をご紹介
  • 機能異常を伴わない安定した結節の経過観察期は、当院で血液検査と臨床評価を中心に継続管理

通院頻度の目安

ホルモン値の調整中は1〜2か月に1回、安定後は3〜6か月に1回の通院が一般的です。安定期の継続治療はオンライン診療にも対応しており、お忙しい方でも治療を続けやすい体制です。

関連疾患の同時管理

甲状腺機能低下症は脂質異常症の二次性原因として知られ、適切な治療で脂質値が改善するケースもあります。生活習慣病をお持ちの方は、甲状腺機能の確認を含めた総合的な評価を行います。

よくあるご質問

Q. 健診で「TSHが高い」「TSHが低い」と言われました。すぐ受診すべきですか?

A. TSH異常は甲状腺機能の最も鋭敏なサインなので、放置せず一度ご相談いただくことをお勧めします。「TSHが高い」は甲状腺機能低下傾向、「TSHが低い」は甲状腺機能亢進傾向を示唆しますが、TSHだけでは確定診断はできません。当院ではFT4・FT3や抗体検査などを組み合わせた血液検査で評価し、本当に治療が必要な状態か、経過観察でよいかを判断します。エコー検査などの精密検査が必要な場合は、提携する専門病院へご紹介します。健診結果は必ずお持ちください。

Q. バセドウ病・橋本病は治りますか?

A. ケースバイケースです。バセドウ病は薬物療法で寛解(薬を中止しても安定)する方が約3割、長期に薬の継続が必要な方もいらっしゃいます。橋本病は基本的に長期に甲状腺ホルモン補充を続けますが、出産後の一時的な機能低下や軽症例では中止できる場合もあります。いずれも自己判断での薬の調整は避け、定期的な血液検査で医師と相談しながら方針を決めていきます。

Q. 甲状腺の薬は妊娠中・授乳中も飲めますか?

A. 妊娠中・授乳中も、必要な場合は甲状腺の薬を継続することが推奨されます。むしろ甲状腺ホルモンが低い・高い状態を放置するほうが胎児や母体への影響が大きいことが知られています。バセドウ病で抗甲状腺薬を使用中の方は、妊娠初期と妊娠中期以降で薬の選択が変わることがあるため、妊娠を希望される時点でご相談ください。橋本病でホルモン補充中の方は、妊娠が判明したタイミングで早めの受診をお勧めします。

Q. 首にしこりがあります。すぐに受診すべきですか?

A. しこりに気づいた場合は、放置せず受診をお勧めします。甲状腺結節の大半は良性で、すぐに治療が必要なものはまれですが、まれに悪性(甲状腺がん)のことがあります。当院ではまず血液検査で甲状腺機能を確認し、しこりの精密評価が必要な場合は提携する甲状腺専門病院でのエコー検査・必要に応じて穿刺吸引細胞診をご紹介します。診断後の長期管理は当院で継続できます。

Q. 「だるい」「疲れやすい」だけでも甲状腺の検査をしてもらえますか?

A. はい、対応しています。だるさ・疲れやすさ・冷え・体重変化など甲状腺機能異常を疑わせる症状がある方には、血液検査でTSH・FT4などを測定して甲状腺機能を評価します。

Q. オンライン診療で甲状腺疾患の継続治療は可能ですか?

A. ホルモン値が安定している継続治療のオンライン診療に対応しています。直近の血液検査結果をもとに薬の調整を行い、処方箋をご自宅近くの薬局へ送付します。ただし、初診の方や採血が必要なタイミング、薬の調整が必要な時期、提携先でのエコー検査結果を踏まえた方針見直し時には対面での受診をお願いしています。

Q. 甲状腺の病気は遺伝しますか?

A. 橋本病・バセドウ病ともに、家族歴がある方では発症リスクが高まる傾向があります。両親・兄弟姉妹に甲状腺疾患の方がいる場合、ご自身も甲状腺の異常を指摘されやすいことが知られています。家族歴がある方で前述のような症状がある場合は、一度血液検査で確認することをお勧めします。

関連するページ

参考文献

  1. 日本甲状腺学会「バセドウ病治療ガイドライン 2019」, 2019 [Link]
  2. 日本甲状腺学会「甲状腺結節取扱い診療ガイドライン」, 2018 [Link]